お義父さんとやっと向き合えた。
どうも、Shinです。
僕は結婚式にお義父さんを呼びませんでした。
もちろんご存命だし、国外にいるわけでもない。
一言で言えば家庭内の事情ってやつだけど、僕は今でもあの時何も言わなかった事に対してモヤモヤしていた。
離婚して別居中
嫁さんの両親は離婚しているんですけど、別に確執があるわけではない。
娘である、嫁と妹も時々顔出しに行ってるみたいだし。
まあ強いて言えば隣の県で山奥に住んでるのがネックなくらい。
結婚というものが見え始めた頃から、なんとなく「結婚式とかどうするべきなんだろうか…」と考え始めてた。
男にとってのお義父さん
男にとって嫁になる人のお父さんに会うって事はもの凄い試練なわけ。
女性もお母さんと仲良くできるかって不安はあると思うけど、多分それとはまた別のもの。
今まで大事に大事に守ってきた家族。優劣なんて付けられないけど、女の子なら尚更守ってあげなきゃいけないって思いが強いと思う。
だからこそ、時に旦那になる男を見る目は必要以上に厳しくなるし不安や期待が入り混じって、きっと自分でも訳が分からなくなる。
それを旦那になる男も、少なからず分かっているからこそ緊張する。
決意と不安が入り混じってこっちはこっちで訳わかんなくなる。
お義父さんを結婚式に呼べなかった理由。
お義父さんは病気を患ってた。病気のせいで身体も動かし難いし、言葉も喋るのが難しくて聞き取るのに苦労してしまう事もある。
曲がりなりにも医療福祉の仕事に就いている僕は、患者と接する経験があるので症状が想像できてしまう。
先述した不安に「病気」という要素がプラスされてしまう。
「聞き取れなくて何回も聞き返したら失礼だよな・・」
「そんな不安の中で自分はまともに話せるかな・・」
そしてお義父さんを結婚式に呼ぶとなると、介助する付き人が必要になってくる。
山奥に住んでいる事も難しい要因の1つだった。
嫁達の言葉に甘えて会わなかった
結局、嫁や嫁のお母さんの提案から「お義父さんは挨拶には行って欲しいけど、報告も挨拶も後日で仕方ない」という事になった。
決して面倒だからとかいう理由ではなかったけど、物理的に難しかったり一度離れた夫婦なりの難しい理由があるみたいだった。
さすがにそんな所まで掘り下げて聞けるほど図太い神経を持ち合わせてなかった僕は、挨拶くらいしておくべきだという事も提案できなかった。
「これでいいのかな・・」と思う自分の影に
お義父さんに会うという大きな不安から逃げる事が出来た事に少しだけ安堵してしまった自分がいた事が情けなかった。
そうしてヴァージンロードは嫁さんとお母さんが一緒に歩いた。
会いに行くことになった当日
結婚してから約一年が経って、やっと会いに行く事になった。
挨拶が遅れれば遅れるほど憂鬱になって、当日の僕はかなりナーバスだった。
嫁は事前にメールを送っていたと言っていたけど、どうもそれが届いてなくて結局「旦那を連れて行く」と知らせたのは当日の朝だった。
絶対ぶっ飛ばされると思った。
もう何なら、玄関を開けた瞬間から土下座しておこうかと思った。
多分もうこの世の終わりみたいな顔をしていたと思う。
嫁さんが「大丈夫だよ!元気出して!!」と言ってくれていたけど、助手席で外を呆然と眺める僕は末期ガンを宣告されて余命幾ばくもないみたいな雰囲気だったと思う。
いや本当に。
最初の一言
ドライブしてて、山道を通るときに「この辺に住んでる人って買い物とかどうやってしてるんだろうね?」みたいな会話をした事ないですか?
そんな所にお家は突然現れた。
天気は土砂降り。僕の心とリンクしてるらしい。
ファーストコンタクト。
精一杯の自己紹介と「どうぞ」となんとなく気まずそうに片付けながらリビングにあげてくれるお義父さん。
リビングではラジカセから山崎まさよしの「セロリ」が流れてた。
「うぅ〜頑張ってみるよぉ〜やぁれるぅだけぇ〜」
応援されてるのか小馬鹿にされてるのか
何か話そうと思って「山崎まさよし好きなんですか?」とか聞こうと思ったらラジオだった。危ない。一歩早かったら気まずさが倍増していたに違いない。
するとお義父さんから話しかけてくれた。
「田舎でしょう?」
「いえ・・静かで良いところです。」
一度話し始めると結構話してくれた。もちろん、病気のせいで聞き取りにくいから何度も聞き返す事はあったけど、真剣に聞こうとしている意思が伝わってるのか嫌な顔1つしないでいてくれた。
スーパーでお昼ご飯に、と買ってきた寿司や唐揚げととりあえず食べながら話して行く。いなり寿司が好きだという共通点が見つかって少し嬉しかった。
しかし、時々お茶を入れたり皿を取りに行ったりして嫁さんがいなくなるのがとんでもなく心細い。
そして僕がお義父さんに伝えたかったのは1つ。
「報告が全て終わった後になってしまって本当にすみません。」
そう謝ると
「来てくれただけで嬉しいよ。」
って言ってくれた。
言葉を発すると泣きそうだったから、うつむきながら首を横に降る事しか出来なかった。
ただ、やっぱりお義父さんも思う所はあるんだろう。
「何もしてやれんかったな。」って言ってた事が胸に刺さった。
その一言に色んな感情が溶け込んでる気がしたからだと思う。
というか、多分気のせいじゃない。
娘の結婚式を見たくない親なんているはずがない。
それから嫁がお義父さんの影響で好きになったというF1の話をしたり、嫁の小さい頃の写真や自分の結婚式の時の写真を見せてくれたりしていくうちに、お義父さんと話すことは怖くなくなった。
ずっと胸につっかえていたもの
また遊びに来ると約束して、その日は別れた。
正直、めちゃくちゃ疲れた。
メンタルの疲れ具合が半端じゃなくて帰りの車内では半分くらい寝てた。
でも、行って良かった。僕の自己満足かもしれない。
お義父さんはまだモヤモヤする事があったかもしれない。
でもこの僕の行動は確実に何かを変えた。
今回はそんな話。
嫌な事は必ず訪れるけど、1つ1つ向き合って行く事で強くなるものがあると思うんですよね。
意味の無いことなんて無いなあ。